天理教教祖中山みき様は、明治二十年(一八八七年)陰暦正月二十六日に現身をおかくしになりました。以来、一年祭、五年祭、十年祭と、そしてその後は十年ごとに、教祖の年祭が勤められてきました。
天理教では、人の死を「出直し」と言います。そして、出直した人を偲び、その遺徳をたたえて、一年、五年、十年といった区切りの年に、年祭を勤めます。しかし、この教祖年祭は、出直した人の霊のために勤める年祭とは、根本的に意味が違います。
教祖は、世界中の人間をたすけたいとの親心から、艱難苦労の道も明るい心でお通りくださり、万人がたすかる道を教え示されましたが、なおもたすけを急ぐために、人々の成人を促すうえから、二十五年先の寿命を縮めて現身をかくされたのでした。そして、いまもなお存命のまま、世界たすけのうえにお働きくだされています。
この、教祖の親心に応えるために勤められてきたのが、教祖の年祭です。この道を信仰する人々は、十年ごとに迎える教祖年祭を目標として、教祖にご満足していただけるよう、心の成人に努めてきたのです。
教祖百三十年祭に向けても、三年間と仕切って全教が心をそろえ、一人一人がそれぞれのできるおたすけをと呼びかけられています。その仕上げの年であるいま、おぢばでは、たすけられた人たちが、自らも人をたすける「ようぼく」へと成人するために、別席を運ぶ姿が多く見られます。
ここまで成人しましたと、ご存命の教祖にご覧いただき、陽気ぐらし世界の実現へ向けて新たな一歩を踏み出す日。それが教祖百三十年祭の日なのです。
*おぢば……親神様が人間を創造された元の地点。広義では、ぢばを中心とする一帯をいう。
*ようぼく……九度の別席を運んで、病だすけの手だてである「おさづけの理」を戴いた人のこと。陽気ぐらし世界建設の用材(用木)という意味。
*別席……おぢばで聴かせていただく親神様のお話。このお話を聴くことを「別席を運ぶ」という。